料理考を少し…

田舎の母が一週間ほど家を空ける運びとなったそうだ。

で、困るのが父親の食事面である。というか、料理はおろか洗濯もできるかどうか怪しい。

 

「よし、じゃあ僕がその期間中に泊まり込んで食事やその他の雑事を引き受けるわ(ありがとうリモートワーク)」と提案してみたが、両親からすげなく拒否された。え?

 

「いやいや、迷惑をかけるわけにはいかへんわ」

「いやー(笑)心配せんでもなんとでもなるがな」

 

 

ほほう……。

しかし、なぜバレた!?
一家の危機を救うためと見せかけて広いキッチンで思う存分料理してみたいという思惑を瞬時に炸裂させたことがなぜバレた!w お?

 

 

とりあえず洗濯機の使い方、干し方等を学んでいるらしい父、食事は外食・コンビニ等に頼るらしい。ジャンクフード好きの父、普段は料理好きの母から厳しく食事を管理されている父からしたら楽しみでもあろう。

 

父としては「独りで一週間も羽を伸ばせる!好きなジャンクフードを文句を言われずに摂取できる!」などという思いもあるのだろう、いや、絶対にある。

 

人間ですもの。

 

 

おそらく母としてはキッチンを他人に(実の息子ではあるが)使われるのを避けたいという思いがあったことも容易に想像できる。

思えば実家を出るまで、わたしはキッチンに立った経験がほぼゼロだった。

 

手伝おうとしても「ええからええから(シッシッ」みたいな塩対応だった。

そして、今ならそれはよく分かる。

 

なぜなら、今のわたしも同じだからだ。

 

たとえば、ある日スーパーの袋を両手に抱えた恋人が(いないがw)部屋にやってきて「今日はきつね君のために腕によりをかけて……」みたいなことになると、やっぱりちょっと困ると思う。

「オレのテリトリーを乱さんといて」的な感じ?

「嬉しいねぇ、でも僕も手伝うよ!(監視)」的な対応をすると思う。料理の内容とか味付けとかではなくてキッチンの使い方の問題ね。

 

 

各家庭、人それぞれに独自のルールがあるのがキッチンなのだ。そこに正解はない。

正解を握っているのはキッチンを管理している人、ただその人だけだ。

 

 

 

では逆に、わたしはどうだろうか?はたして他人のキッチンでいつも通りに料理できただろうか?

母親の厳密なルールに則って管理されているキッチンを上手く使いこなせるだろうか?

 

甚だ疑問である。

 

これは学生時代に少し経験がある。友人の家でわたしが料理をするという経験が。

みんな美味しい美味しいと食べてくれたけれど、「いや、ちゃうねん、美味しいんは分かってるけど、ほんまはもっと上手く(美味く)できんねん」という思いがあったのもまた事実だ。

 

 

料理(自炊)というのはハマればハマるほど、非常に繊細で奥深いものだと気付かされる。そしてさらにハマっていくのだ。

自分が使いやすいようにまとめ上げたキッチンで料理をして、それを食べ、お腹が満たされる。それ以上でも以下でもないシンプルな話なんだけど、これがとんでもなく面白いし、「あぁー、なんか生活してるわー」と実感できるわけだ。

 

いやー、しかし広いキッチンが欲しい。引っ越したい。旅行してる場合ではない。